HSS/HSPコラム
HSS型HSPの本や記事を読んでくださって
「それは自分のことだ」と思われ(驚かれ)
「まさかとは思うけど、自分は繊細だなんて思ったことなかった」
という方からお声がけいただくことが多くなりました。
「まさか自分が繊細だったなんて!」というお声は、男性からいただくことも多いんです。
男性HSS型HSPは、女性よりもさらに自己発見が難しいと感じます。
その理由は、
①HSP特性に逆行する性質である「男らしさ」を幼少期から求められる。
②家族を養う、男性社会で生きていく必要があり、自分の良さ、本来の能力とか言っていられない。
などが挙げられそうだと思っていたのですが、
ここ2年ほどアメリカで「繊細な男性」についての研究が進められているそうです。
私自身、男性HSPについてもっとよく知りたいと思って、本を購入しました。
「The STRONG SENSITIVE BOY」
という本で、
「Help Your Son Become a Happy, Confident Man(あなたの息子を幸せで自信ある大人に)」という趣旨で書かれています。
著者は Ted Zeff,PH.D.。
著書が3冊で現在もHSPや繊細な男子に対処法を教えています。
お子さんがHSPやHSS型HSPの男の子である方にとって、これは必要と思い、
この本の内容をかいつまみつつお伝えしていきたいと思います。
お、この本のタイトルの上に、アーロン先生のメッセージが入っていました。
「すべてのHSC男子の親はこの本を読むべし」
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強い繊細な少年(HSC男子について知っておくべきこと)
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前書き(エレイン・アーロン博士)
この本を手に取ってもらえて嬉しいです。
少年たちの人生をよくすることができるかもしれないからです。
私自身も参加して実施してきた調査研究は、
「ストレスの多い援助のない環境で育った繊細な子供は、似た環境で育った非HSPよりも憂鬱で心配ばかりしていて恥ずかしがりやで不健康になりやすい」ということを明らかにしました。
もっとも大事なことは、
「豊かでサポートのある環境で育つことができた繊細な子供たちは、生きる力をたくましく持ち、幸せで健康で社会的に有能な大人になる」
ということです。これは、同様の環境で育った非HSPの子供よりもです。
つまり、育った環境によって、彼らが力を伸ばしていくであろう財産であるということです。
赤毛猿の実験を研究者はしますが、それは人で試すことができないためなのですが、そこで見出されたことがあります。
この繊細さという特性を持った赤毛猿は、
標準的な母親に育てられると神経質でピリピリした感じになりやすかったのですが、
育てるスキルを持った母の元で育つと、
繊細であっても群れのトップになりやすいという結果を得ました。
あなたの家の繊細な男子が私たち人間のグループのリーダーになったら、
私たちみんなにとってよいことではないでしょうか。
あなたの息子さんが生まれもった優位性は、基本的に生まれ持った特性からきています。
繊細な人は、そうでない他の人たちが経験するよりも、もっととことん経験します。
たぶんそのことは、もうよくご存じですよね。
あなたの息子さんは何か物事に取り掛かる前に観察するでしょう。
そして、細かいことに気が付くでしょうし、
まだなにも起こっていないのに起こり得る結果を一生懸命頭の中で考えていたりします。
あなたは彼のそのやり方が、
豊かな環境や彼らが安全で愛されていることを伝える微妙な手がかりから
はるかに多くを得ることができるという事実については考えなかったかもしれません。
彼らはこのような保証があればリラックスして学べるのです。
学校に正しい先生がいてくれれば、この繊細な子供たちは他の子どもよりも学ぶこともできます。
彼らの鋭い感覚をもって期待する以上に学び取るのです。
(ギフテッドを研究する人たちは繊細さと天才性はほとんど同じものだと知っています)
あなたの息子さんにとって、正しい環境がすべてであるということです。
◆心配しないで あなたは正しいことをしています◆
あなたは、息子さんに十分良い環境においてやれていないのではないか?
とオドオドしなくても大丈夫です。
あなたがこの本を読んでいるということは、
彼をどうにかしようと努力続けているということに他なりません。
それこそが子育ての最も大事なことです。
彼がどんな人間であるかを知っていて、
彼を助けたいと思っていることを彼に示すことになりますから。
あなたがこれまでにどんな後悔をしたとしても、
この本は彼がいつか最大限のものを手に入れるための手助けの準備として完璧なものであるといえます。
わかっておいていただきたいのは、
あなたは彼の環境を完全にコントロールすることはないということです。
◆繊細さを許容しない文化の中で男の子を育てるとは◆
Ted Zeffは繊細な男性への聞き取り調査をしましたが、
繊細な男性や少年に対して世間の見る目はあまり良いものではありません。
文化圏内の大半の人たちは、繊細さを軽蔑しています。
だから繊細な少年はいじめられ傷つき、どんな方法でも理解されなかった。
たまにどんなにそれをふせごうとしても。
もともと少年だった大人の繊細な男性は、「繊細」という言葉に当てはめられるのを恐れます。
例えば私の調査では、繊細な男性のHSP度を測る調査の得点は低くなります。
調査項目は、男性が女性よりも「該当する」と答えるかどうかを確認するものでした。
調査側もデータが偏らないように細心の注意を払いました。
それでも、男性のスコアはどうしても低く出ました。
調査側は、「繊細な男性たちは各項目で本当に思っていることを答えなかった」と推測せざるを得ませんでした。
彼らは無意識に「そうではない」と答えたのだと思います。
繊細な男だとみなされないようにするために。
テッドと私はあることに気づきました。
報道関係者がHSP研究者の私たちにこの特性についてインタビューすることがあります。
インタビュアーが男性の場合、彼は神経質に笑い始めるんです。
彼らはつまり、繊細であることを激しく否定しています。
インタビューを受けるテッドや私にとって、このことはとてもきついし悲しいことです。
男性のグループの中で繊細さを持ち続けてみるということを試してみてください。
この男性が繊細であることを軽蔑する現実を目の当たりにすることになるでしょう。
このような風潮の中で暮らしたいと思っているのだということがよくわかると思います。
◆もっと楽に! 男性の繊細さは女性ぽいの?◆
Ted Zeffは繊細な男性が非繊細な男性よりも女性っぽいかどうかについて本書に書いていますので、私は自身の経験から少し補足します。
私の研究調査は北アメリカのサンプルだけですが、繊細に対する偏見が男性に多分にある地域です。
生育環境の良くないことの影響が、他の男性たちよりも繊細な男性に現れやすい地域です。
でも、それは女性にも言えることです。
繊細な男性にも言える事ではありますが、女性もみんな、社会から害を受けています。
ネガティブな子供時代の影響を受けているにしても、非繊細な男性は社会ではまだだいぶましです。
繊細な男性がなぜある意味女性らしく見えるのかには他の理由もあります。
ひとつは動物のパーソナリティの発見における後追い調査です。
繊細さに似たような特性は100以上の種の生物でも発見されています。
この特性を持つ生体は常にその種の中でマイノリティで、
行動の前に観察する遺伝的戦略として現れます。
この行動の前の観察は、先のことを恐れているのではなく、
肉体的に動き出すためのリスクをとるために必要な洞察であると思います。
この洞察は、マジョリティの生体と対照的なのです。
マジョリティは速く行動し、リスクをとります。
そしていつもアグレッシブで、経験から学びません。
マジョリティはよくやりたいようにやりますが、
彼らの衝動性は、後にトラブルを引き起こすことになります。
マイノリティの側は、
脅威者の出現に注意深く、アグレッシブでないことによって、
深刻なダメージや死を避けられます。
食料についても、マジョリティが決して知らないところにある食料を、
マイノリティは知っています。
彼らが食べ物を注意深く探している間、
アグレッシブなマジョリティは、すぐに探せるものを食べています。
興味深いのは、繊細な特性を持つ彼らはいつもマイノリティであるということです。
(中略)
時々、この世には4つのジェンダーがあるんじゃないかと考えます。
繊細じゃない男性、繊細な男性、繊細じゃない女性、繊細な女性。
繊細な男性ももちろん、ホルモンや体の組成においては他の男性たちとまったく同じですが。
また、人類の「男らしさ」を定義の幅を変えると良いだろうと思います。
男性のすべてのタイプを含むところまで拡張して定義するといいと思う。
非繊細な男性の長所に価値を置くのではなく、
穏やかでジェントルであることを尊重し、
行動する前に注意深く思慮することや、
アグレッシブではないことや誠実さといったものを尊重する文化であるように。
もしかしたら私が考えているようにあなたも考えているかもしれません。
どの文化もそこにいる人たちに優しい思いやりを大切にしていたなら、
世界や人々はもっと幸福で繁栄していたのではないかと思います。
もし、平和と正義を実現ことについて私たちが分業して受け持ちを作るとしたら、
あなたの受け持つ部分は、繊細な少年を「所属するグループのリーダー」に育てることです。
そうしている中で、
自分の息子の本当のすごさだけでなく、
とても繊細な人たちのすごさを世の中に判ってもらえるでしょう。
それは欲深く暴力的で考えなしに衝動に基づいて行動する人たちの影響を減らすための、
間違いなくすごい貢献です。
この本を読みながら、どのくらい良い未来になるのかに思いを馳せてください。
エレイン・N・アーロン Ph.D.
(「The STRONG, SENSITIVE BOY」/ Ted Zeff,PH.D. より和訳して抜粋)
次回は、本編をご紹介していこうと思います。
男性HSPやHSC男子を育てている方はぜひまた読んでください。
日本で初めてHSS型HSPに特化した心理カウンセラー。
一般的なカウンセリングや心理療法では理解されづらいHSS型HSPの複雑な性格を紐解き、のべ5,000人にカウンセリングを実施している。自身もHSS型HSPであり、3児の母。
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